一撃。 今の今まで手加減など全く知らなかった男は、やはり、手加減できなかった。 そして、手加減しようとも思わなかった。 彼には勝敗など正直言ってどうでもよいのだ。 セカンドにお礼ができる程度に頑張ればそれでよい。 それよりも何よりも、彼は今が楽しくて楽しくて仕方がなかった。 魔魔術習得条件を絞り込む日々。習得のため試行錯誤する日々。習得後からの研究漬けの日々。 まるで大好きだったゲームに新たな要素がアップデートされた時のように、毎日毎日飽きもせず熱中して心血を注ぎ続けていた。 今もなお、そうである。 まだまだなのだ。彼は、まだまだ満足していない。 そして、まだ、知らない。 魔魔術の深淵も然ることながら……更なる魔術の深淵も。「さ、やろうか」 それを、この男が教えてくれることだろう。 第四百六十六代叡将セカンド・ファーステスト――。