「ジルヴェスターとの養子縁組を解消しても、其方が私の孫娘であることに何の変わりもなかろう」「では、それは懸想と呼ばれる感情なのですか?」「……な、なんだと?」 きょとんとした顔になったおじい様にわたしはニコリと微笑む。「わたくしがフェルディナンド様を心配するのは、遠く離れようとするわたくしをおじい様が心配してくださるのと同じ気持ちだと思います。王族に受け入れていただけませんでしたけれど、わたくし、本当はフェルディナンド様をエーレンフェストに返してほしいとお願いしたのですよ」 そうすれば、魔力、ライゼガング、神殿や印刷の業務の引継ぎなどエーレンフェストの問題の大半が片付いたのですけれど、と付け加える。おじい様は「……妙な邪推をした」と少し肩を落として座った。