騎士が険しい声を上げ、ジェフロワを見下ろす。 その凶相は一般人に化けることを前提としたジェフロワの部下達よりも余程、粗暴に見えた。 恐らく、《千変万化》の協力者だったのだろう。最初に、この街を攻めるきっかけになった二人の男と同じ空気を感じる。 最初からターゲットにされていたのだ。貴族の有する騎士団すら騙して策を進めるなど聞いたこともないが、恐ろしい手腕だ。 消沈していた感情が僅かに戻ってくるのを感じる。ジェフロワは深い笑みを浮かべ、灰色の髪をしたその男に言った。 せめて、道連れにしてやろう。「いや、何を言ってる、灰色。お前は俺達の仲間……バレルだろう。頭を捨てて自分だけ逃げようってか? そうはいかない。獄でも仲良くしてくれよ」