皆に、会いたい。 学園に帰れば、会えるんだ。みんなの無事を確認できる。 ……何事もなければ、だけど。 少しだけ怖い想像をして、目を伏せると、アランが気づいたらしく「あいつらなら、大丈夫だろ」と何と励ましの言葉を投げてくれた。 気遣わせてしまったね。ありがとう、アラン。「そうですよね。みんななら、大丈夫、です」 うん、だって、あんなに頼もしい皆だもの。 きっと、大丈夫。----------- レインフォレストとルビーフォルンの合同隊は、王都へ向けて出発し、数日の旅を経て、懐かしき王都へと帰ってきた。 一応魔物の襲撃に備えてはいたので、早めに出たのだけど、襲撃がなくて、あっさりとついてしまった。私が思っているよりも大雨の災厄は落ち着いてきているようだ。 王都に到着すると、コウお母さんは薬屋に、カイン様は城に、私やアランは学園の寮にもどる。 寮に帰ってみると、既に学園に戻ってきている生徒達が結構いた。 学園の生徒達は、私の姿を見るなり「きゃあ! リョウ様よ! 勝利の女神! 素敵―! きゃ!」みたいなことを言って、中には私に、握手を求めてきたりする生徒すらいた……。 どうやら、各領地にマッチを分配していたことで、生徒達の私への好感度がうなぎのぼりになってしまったみたいなんだけれど、このノリは、なんか、どうにかならないだろうか……。 だけど、悪口を言われているわけでもないので、邪険にもできず、何とか笑顔で流した。 そして寮に戻ってきている生徒の中には、リッツ君もいて、アランとリッツ君3人で、再会を喜び合った。リッツ君からマッチのお礼を言われたけれど、無事でいてくれたなら、もう何もいらないっていう気持ちである。 どうやらマッチの配給は、想像以上に各領地の助けになったみたい。それゆえの他の生徒達の反応なんだろうけれど、でも他の生徒達みたいに握手を求めたりしないリッツ君は、私の癒し。 流石空気読める子選手権の優勝候補である。 久しぶりのリッツ君は、お変わりなくて、嬉しかった。 でも、桜貝で再会の誓いをしたシャルちゃんカテリーナ嬢、サロメ嬢のグエンナーシス勢は、まだ戻ってきていない。 寂しい。早く会って、色々お話したかったな。 一通り生徒達へのあいさつを終えて、学園の様子を改めて見たけれど、ここを離れる時には、ボロボロだった壁などもきれいに修復されて、魔物に襲われたなんて、嘘みたいに綺麗だった。 多分魔法で修復したのだろうけれど、すごい。 そして学園に戻ったからには、あともう一人挨拶しなければならないお人がいる。 到着した次の日、私は挨拶をするため、「失礼します」と声をかけて校長室へと足を踏み入れた。