「ところで師匠殿。普通の鑑定を受けたい剣があるんだがな」「では、買い取り所のカウンターにもどるぞ」 それを聞いてぽっちゃり男はドアに歩み寄って解錠し、ドアを開いた。「あたしはこれで失礼します」「うむ」 ぽっちゃり男は去った。 レカンは老鑑定士に連れられて買い取り所のカウンターに戻った。そこでは別の鑑定士が業務に当たっていたが、処理中の案件を終えると老鑑定士に席を譲った。 レカンはまたしても並んでいる冒険者たちを尻目に、すぐに老鑑定士の前に座ることになった。「これだ」 レカンが料金を払って〈威力剣〉をカウンターに置くと、老鑑定士はいつもの通り、杖をかざし、よどみなく明瞭に準備詠唱を行い、〈鑑定〉を発動した。そして鑑定書に内容を記入し、控えを取ってからレカンに渡した。