アストランティアの街 ――次の日。 近くの街、アストランティアへ行くことになったので、朝食は街で食べる事にした。 戸締まりを厳重にして、アイテムBOXからオフロードバイクを出す。後ろの荷台に取り付けられていた森猫用のBOXを取り外す。 家に鍵を掛けても木製の窓だから壊されたら終了だけどな。だが盗む物は何もないが。 部屋にあるのはベッドだけ。その他のアイテムは全部アイテムBOXの中へ収納されているからな。 ヘルメットも取り出して、アネモネに被らせた。「その変な乗り物でここまで来たにゃ?」「そうだ。ダリアの街でも走っているだろ?」「にゃ、ドライナントカってやつにゃ」「これは魔法で動くけどな」「野盗の所へ行く時に使った、馬なしで動く荷車と同じにゃ?」「まぁそんなところだ」 俺たちはバイクで森の中を走るが、ミャレーは走っていくと言う。 獣人の最高速は時速60㎞ぐらいらしいからな。バイクと十分に並走出来る。 それに、ここからアストランティアまで5~6㎞ってところだ。それぐらいの距離なら、スタミナも余裕らしい。 まさに、ステータスを運動能力へ全振りしたような種族だ。「よし、行くか~。アネモネ、ちゃんと掴まっていろよ」「うん」 チョークを引いて、キック一発でエンジンが始動した。パンパンと乾いた甲高い音と共に白い煙がマフラーから流れる。「ああ、この臭いにゃ!」 どうやら、ミャレーはこの2ストエンジンの排気煙の臭いと微かな森猫の匂いを辿って俺達に追いついたらしい。 スロットルを開けて、時速10Km~20㎞程で森の中を走り始めた。ゆっくりと走っても30分もすれば到着するはずだ。 左手に高い崖を見ながら森の中につもり積もった柔らかい腐葉土の上をバイクで走る。まるでふわふわの絨毯の上を走っているようだ。 ちょっとエンジンを吹かすと、後輪が空転して落ち葉を巻き上げる。 真っ直ぐに森の中を走れれば良いのだが、木の根っ子や倒木等があるから迂回する事も多い。 ミャレーは、それを飛び越えながら真っ直ぐ走っていってしまうのだが、俺はアネモネと2人乗りをしているから、あまり無茶は出来ない。 俺1人で乗っているなら多少の無茶をしても良いのだが、コケてアネモネに怪我でもあったら大変だ。