この魔法を俺の髪の毛に試した事があったのだが、乾燥しすぎてパサパサになってしまい、髪の毛にはダメージになるらしい。 下手をうって、禿げたり脱毛したりしたら大変。人体には使わない方がいいという結論になった。 加減によっては人間の身体もミイラのようになってしまう。 ただ、アネモネの魔法が上達すれば、微妙なコントロールも可能になるかもしれない。 家に戻ると、ガソリンランタンの明かりの下――プリムラと子爵夫人は、既にピンク色の寝間着に着替えて、フルーツ牛乳を飲んでいた。 2人共美人なので何を着ても似合うな。特に一番端のベッドの腰掛けている夫人は――若いころは、さぞかし美しかっただろうと思われる。 いや、今でも十分に美人であるし、脂が乗っている今が盛りというべか。 確かに、勿体無いといえば勿体無い――とはいえ、人妻である。 やはり不貞行為は、よろしくない。「狭い所で申し訳ございません」 アイテムBOXから、夫人の白いドレスを出して、ハンガーに吊るそうとしたのだが、引っ掛ける所がない。 シャングリ・ラから、ねじ込み式のフックを購入。ハンガーは似たようなの物が、この世界でも使われている。「はは、馬車の中で寝る思いをすれば、これは夢の様な話であるよ」「王都へ馬車で移動となれば、数週間は掛かると思いますが、ずっと馬車の中なのでございますか?」「そうだの。近くに宿場町が無い所では馬車の中で寝泊まりとなる」 そりゃ大変だな。車内泊もしたことがあるが、座席を寝かせて板でも敷き、完全にフラットな状態にしないと、寝た気がしない。 1回でもやってみれば――やはり人間は、ベッドで寝るという事が大事なのだと痛感する。 夫人も、まだ怒っているのかと思ったが、問題なさそうだ。 俺もベッドの上に寝転がる。 すると、俺の腹の上に、ベルが乗ってきて香箱座りになった。下が柔らかくて温かいのが良い感じの居場所らしい。 アイテムBOXからキャットブラシを出して、アネモネに渡すとベルの毛皮を撫で始めた。 彼女も実に気持ちよさそうに、ゴロゴロと言いながら目を細めている。「トラ公は外で寝ろにゃ!」「なんだよ、俺の小屋は旦那のアイテムBOXに入ったままなんだよ。それに旦那がベッドを用意してくれたって事はここで寝てもいいんだろ?」「まぁミャレー、たまにはいいじゃないか」「さすが旦那! 今日は俺が膝枕してやるぜ」 そう言って、彼女が俺の頭を太ももの上に載せてくれる。「おお~いい感じ」「へへへ、そうだろ? じゃあ、これはどうだ?」 ニャメナはベッドの上で脚を開くと、彼女の股間の上に俺の頭を載せた。「おおっ! こりゃまた、絶妙な柔らかさが、くせになりそう」 位置を決めるようにクニクニと頭を動かす。