綺麗なお魚。これなら美味しそうで安心したわ」「う、ん、味と見た目は別なんだから気にしなくても……じゃなくって、ここは食べ物を紹介しに来たわけじゃないんだよ」「そんなことはもちろん知っているわ。だけどあなたのことだから、きっとこれから美味しい食事を考えているのでしょう?」 そんな風に期待たっぷりの瞳で見つめられたら、僕としては何も言えない。せいぜい長耳の近くに口を寄せて「実はその通りなんだ」と囁くくらいだ。 ほらやっぱりと少女は顔に喜色を浮かべ、たんたんと足踏みをして見せる。もちろん背後に潜んだ黒猫もそんな提案を聞き逃すわけもなく……うーん、恋人同士のデートにしては少しばかり俗っぽくなってきたぞ、などと僕は思うのだった。