『我が内なる力から生み出されし灼熱よ目前の敵を焼き尽くせ』 俺の隣で、魔導書を読んでいた、アネモネの前にザワザワと煌めく青い光が集まり始めた。「おっ、ちょっと待て! アネモネ!」 だが、彼女はトランス状態のようで俺の言葉は聞こえていないようだ。 そして、集まってきていた光は、突然炎にその姿を変えた。『憤怒の炎!』 彼女の咆哮と同時に火の塊が打ち出されて、家の壁を真っ赤に覆い尽くした。「おわぁぁぁぁ! 消火器! 消火器!!」「ふぎゃぁぁぁ!」「きゃぁぁぁ!」 俺は急いでシャングリ・ラを検索すると、一番最初に出た消火器を選択して【購入】ボタンを押した。購入したのは3つだ。 ドスドスドス!! という音と共に落ちてきた消火器を掴むと、黄色いピンを抜き黒いレバーを握るとホースを火に向けた。 勢いよく噴射されたピンク色の粉が部屋中に舞う。「俺の真似をして、残りの物を使ってくれ。その黄色いのを抜いて、黒い取手を握ればいい!」「こうにゃ?! ふぎゃぁぁぁ!」 勢い良く出た消火剤にミャレーがビビったようだ。「こうですか?!」 意外とプリムラは冷静だ。やはりマロウさん譲りなのか、肝が据わっている。 3人で消火剤を掛けまくり何とか炎は沈下した。 消火器のピンク色の粉で覆われてしまった家の壁だが、かなりの範囲で黒く焦げてしまった。 だが、表面が焼けただけで中まで火は通っておらず炭化もしてない。 火炎の瞬発力はあるが持続力はあまりないようだ。 だが、この炎で包まれれば気管や肺の中を焼かれて致命傷になる。さすが魔法――恐ろしい。「ご、ごめんなさい……」 アネモネが自分のやってしまった事に驚いて、ぷるぷると震え放心状態になっている。 いや、怒るよりも――。「すげぇぇぇ! 凄いぞアネモネ! 魔法が使えるんだな!」「これなら、牙熊も仕留められるにゃ」「でも、この魔法で焼いたら、買い取ってもらえないぞ?」「にゃ! そうだにゃ」 固まっていたアネモネだったが、その場で横に倒れこんでしまった。「おい、どうした!?」 顔が真っ赤なので額に手をやるが――熱がある。「多分、魔力酔いだにゃ。初めて魔法を使った子供なんかがなるにゃ」「ケンイチ、ベッドに寝かせましょう」「そうだな」 皆で寝られるようにダブルベッドを買ったが場所を占領するので、いつもはアイテムBOXへしまってある。