「ええ。セリア……、先生は私の正体を知っています。この家とは別にもう一つ、同じような岩の家があるのですが、そちらでセリア先生や美春さん、サラさん達も一緒に暮らしていました。昨日、お約束いただいた通り、私の過去を一いつ切さい公言しないと約束していただけるのであれば意固地になって隠すつもりもありません。必要な情報はお話しするつもりなので、そう身構えないでください」 レストラシオンに所属するセリアの今後を考えるのなら、この二人とは友好的な関係を築くべきだろう。リオはクリスティーナの質問に答えた上で、リラックスしてもらうべく優しい口調で語りかけた。「……はい」 少しは緊張がほぐれたのか、クリスティーナは肩の力を抜ぬいて頷く。「色々と絡からめて話すと長くなるので、先に食事を片付けてしまいましょうか。食事は温かいうちに召し上がっていただきたいので」 リオは努めて穏やかに微笑ほほえんだ。ふと覗のぞかせたその表情は、かつての学院時代にリオがセリアに向けていたもののようにも見えて――、「…………はい」 クリスティーナとフローラは息を呑のんで首を縦に振る。 それから、食事を進めつつ、料理の解説などで話を弾はずませる三人。クリスティーナとフローラの身体はやはり飢き餓が感を覚えていたらしく、綺き麗れいに料理を食べ終えて、朝食の時間は終わりを迎えたのだった。◇ ◇ ◇ 食後のお茶を用意して、リオは改めてダイニングテーブルに着く。そして、向かいに座る王女姉妹を見て――、「私の過去について何かご質問があればお受けする所存ですが、最初に今後の予定を決める話をしてしまいますか?」 と、話を切り出した。「はい」 クリスティーナはしっかりと首を縦に振る。「お二人が失しつ踪そうされてから二日が経ちました。今いま頃ごろ、ロダニアは相当な騒ぎになっていることが予想されます」「……そうでしょうね」「お二人が失踪したことで予想されるレストラシオンへの影えい響きようは何でしょうか?」 リオがクリスティーナを見て尋ねた。