「後程、父から、書状で詳しいことは送るっていってたであります!」 マジか……! 展開早すぎない!? 会合に行けるってことは、え、もう、十柱入りできちゃう……? いや、今のルビーフォルン商会の勢いなら、行けるだろうとは思っていたけれども……早すぎるような。 とりあえず、後から届く書状を確認しよう。 私ははやる心をどうにか落ち着かせて、アズールさんの顔を見た。「アズールさん、そんな良いお話しまで持って帰ってきてくれて、本当にありがとうございます! あ、で、その、他にはどんな話がありましたか……?」「ハハ、そういえば、リョウ殿は、この機に父上が私にルビーフォルン商会のことを根掘り葉掘り聞いてくるに違いないって言っていたでありますね。でも、大丈夫であります! それほどルビーフォルン商会のことも聞いてこなかったであります!」「え? そうだったんですか?」 あれ、予想外。 シルバさんが、アズールさんとのお出かけ権で、私の筆頭10柱入りの打診を請け負ってくれたのは、本当に、アズールさん可愛さだけだったのかな。 私はてっきり、ルビーフォルン商会の内情を探って来るだろうと思ったし、多少商会の情報が漏れるのも覚悟で、アズールさんとのデート権を提案した。 だって、アズールさんは、私と一緒にいることが多いから、ルビーフォルン商会の内情に詳しい。 私の商会はなんだかんだで、知名度もあるし、勢いもある。色々な商会から探りのようなものを入れられているところが正直ある。 シルバさんが、私にアズールさんを託したのも、アズールさんという肉親から何かしら情報を掴むためというのもあるのかなと思ってたんだけど。 本当にただの親バカ疑惑が……。「具体的に、どんな話をされたんです?」「普通に食事がおいしいとか、後は、そうでありますね、どんなにリョウ殿が素晴らしいかってことも話したであります! リョウ殿は治療師にもなり得る知識を持っているとか、魔法使いの友人達も多いとか、でも女の子らしく草花も好きみたいで、最近色々な植物や樹木を集めているとか、そういう話をしたであります!」 アズール殿は満面の笑みでそう答えた。 おや? と思って、私はアズールさんに本日シルバさんとお話しした内容を細かーく確認する。 そしてアズールさんから、今日のお話しの内容を聞き出して、はっきりした。 なるほど。ばっちり、シルバさん私の商会の動向を聞いてきてるぞ。 おそらく、私の普段の生活の内容や興味を示したものを聞いて、私が植物などを使って、何かしら研究しているのは、察してしまっただろう。 私が興味を持っている植物が、香りが強い植物ばかりだとシルバさんに勘付かれたら、香水事業に手を出そうとしているというところまで気づかれるかもしれない。 私の友人にレインフォレスト出身のアラン魔法使いがいると分かって、何かしら調べて、蒸留器にまでたどり着くかな……。 うん、アズールさん、気づいてないかもだけど、ばっちり商会のこと聞かれてるよ。 まあ、でも、それぐらいのことが知られたとしても、許容範囲内。 むしろ、これで、筆頭10柱の会合に参加できるなら願ってもない感じだ!「アズールさん、今日は本当にありがとうございました!」 私が、改めてお礼を言うと、アズールさんは、照れたように「お役に立てたのなら、何よりであります!」と答えてくれた。 いやー、本当にアズールさんには感謝。