「いや……」 ナポリたんからの質問に、チラリと琴音ちゃんのほうを見てから。「それで佳世が幸せになるなら、いいんじゃね?」 未練なく言い切る俺。 だが、ナポリたんはそれを聞いて。「……」 少しだけ難しい顔をした。「ど、どうかしましたか、ジェームズさん?」「……いや。まあ、おまえらに関係ないが──」 ──けど、何かがおかしい。 そんな言葉が続くようなナポリたんの話し方に、俺と琴音ちゃんが息をのんだ。「……本当にどうかしたの、ナポリたん?」「ああ。佳世がな、池谷とくっつくことはありえないと、ついこの前に言っていたのにな」 ついこの前。おそらくは自動販売機のところで話してた時だろう。 俺は知らないふりをして、続きを待った。「その舌の根も乾かないうちに、池谷とやっぱりくっつきました、とか……引っ掛かるんだよ」 うーん、佳世の言うことが信用できればそうだろうけど。でもあいつビッチだよ? ナポリたんは、佳世のことを信じたいのかな。「……お互いに妥協して納得したんじゃね?」 俺はそうごまかしたが、ナポリたんは納得してない。そこに姫が乱入してきた。「そ、そうですね。あの二人、お互い相性はよかったようですし」「……何の相性のことを言ってるのでしょうかね」「も、もちろん、せいきの対決の相性です」「精か子か?」「あ、新しい命が芽生えるか、腹上死するか、ですね」「究極のデッドオアアライブなんだな性行為って……」 俺たちがいつもの漫才を繰り広げている間も、ナポリたんは薬クスリともしなかった。「……」 ますます難しい顔になっている。劇画調ナポリたん。劇画オバQくらい違和感あるな。 その傍らで。「相性、相性……もしも、ゆ、祐介くんに満足してもらえなかったら、どうしましょう……締まりをよくするトレーニングでもしましょうか……あ、それとも、優しくうねるような動きのトレーニングを……」 余計な心配をひとりでしている琴音ちゃん。シリアスとコメディーが同時に存在するこの空間がカオスってやつだな。 いやーん、まいっちんぐ。 まあ、確かに佳世の行動に関しては、手出し不可能だ。 気持ちを訊く気はないし、どうなろうが知ったこっちゃないけど。 ──何かが引っ掛かる、か。