パパとフィーフィちゃんの仲じゃないか。なんでも言いなさい」『ありがとー。 ユウちゃんのことなんだけどね』「ユウ……ちゃん…………? そ、それ……それは、まさか男じゃないだろうね!? パパ許さないよ!!」 溺愛する娘の言葉に、カールハインツは生まれたての子鹿のように足が震える。「落ち着かんか」「うるさーい!! モーフィスは黙っていてくれ!!」 思わず声をかけたモーフィスがドン引きするほど、カールハインツは取り乱し、涙と鼻水を垂れ流していた。『パパ、なにか勘違いしてるでしょ。ユウちゃんはカマーの冒険者よ』「そっかぁー。パパ勘違いして、もう少しでカマーまでぶち殺しに行くところだったよ」『もうパパったら、うっかりやさんなんだから。 ユウちゃんのことで、王都の貴族たちがどうこう言ってくると思うんだけど、パパは全冒険者ギルドの長として平等・・にしてほしいの』「それはダメだよ。パパの職務上、誰か一人を――ん? 平等に?」『そっ。特別扱いじゃなく。平等にしてくれるだけでいいから』「でもフィーフィちゃん、今後の冒険者ギルドのことを考えると」『それが冒険者ギルドのためになるから』「冗談抜きで?」『私がパパにウソついたことある?』「フハハッ! あるわけないじゃないか!!」『じゃあ、ユウちゃんのことお願いね』「パパに任せなさい」『神に誓って?』「ああ、神に誓ってだ!」『パパ、ありがとう。愛してるわ』 フィーフィとの通信が終わると、カールハインツは再び太陽万歳の姿勢で幸せを噛み締めていた。「儂の思惑どおりじゃが、お主はそれでいいんか?」「ふんっ。人には優先順位というものがある。 フィーフィちゃんと冒険者ギルドを天秤にかけたとき、冒険者ギルドよりフィーフィちゃんの方がわずかに重かっただけだ」「とてもじゃないが、わずかには見えんかったぞ」 事前にフィーフィに事情を説明して、協力してもらったモーフィスであったが、あまりのカールハインツの変わりように、今後の冒険者ギルドの運営が心配になるのであった。