朝の4時――……。 時計のボタンを押すと、そんな時刻を表示される。 くあーと欠伸が漏れるほど眠いし、当然のことマリーもウリドラも目を覚まさない。それどころか、すかーっと実に気持ちよさそうな寝息を響かせたままだ。 折り重なった手足をどければ、ごろんと二人は仰向けになる。 ただ、僕の愛するクラゲ君はお休み中なので、しばらくしたら暑苦しさに目覚めて……くれると良いなぁ。「むにゃり」 ん?と振り返ると、エルフさんは氷精霊を呼び出していた。 そんな片手間で召喚できるほど、いつの間にやら成長をしていたんだねぇ。嬉しいやら悲しいやらだよ。 暗闇のなかペタペタと素足で歩き、テレビをつける。 ぼんやり周囲は明るくなり、気になる天気予報は台風が無事に離れてゆく様子を教えてくれた。 うーん、やっぱりウリドラの勘は頼りになる。もしかしたら、これで多少は道も空いてくれるかな。 などと考えながら、とりあえず湯を沸かすことにする。 カチチとコンロに火を点けると、すうっと背後から半透明な手が現れた。ドキッとしたけど、大丈夫、大丈夫だ、心臓によくないけれど、これは大丈夫な幽霊だ。悲鳴をあげるのは駄目な幽霊の時だけだ。「お、おはよう、シャーリー。眠くないかい?」 振り返ると、寝ぼけ眼の瞳が待っていた。 あれぇ、幽霊でも眠るのかな。くああと大きく開いた口を手で隠し、そして「こちらは任せてください」と小鍋を指さしてくる。「じゃあお願いしようか、2人を起こすほうが大変だろうし。そこにあるビンには珈琲が入っているから。こっちがお砂糖ね。牛乳はお好みで」 じーっと青空色の瞳はそれらを眺め、そしてコクンと頷いたのか、それともカクンと眠りかけたのか分からない返事をされる。 とはいえ、完全に寝に入った2人を起こすのは大変だぞ。とりあえずベッド脇の間接照明を明るくしてゆくと、ゴスンとウリドラから蹴られた。「痛っ!」 眠りながら蹴ってくる、だと!? おなかをさすりながら近づくけれど、自動迎撃なのか彼女の素足はゆらりと持ち上がる。いや、これは危険だ。蹴られる可能性、そして薄い布団の下には全裸が待っているという意味での危険。後者は特にあぶないぞ。