「まったく、若いのに恐るべき魔導師だの。完全に魔法を使いこなしておる」「カナン様は、どういった心境の変化ですかな」 単なる気まぐれとも思えないが……。「なに……昨日ずっと其方達を見ていて、私に足りない物が見えてきたのでな」 それから1時間程で寸胴鍋3つ分のスープが完成した。 大半が鳥だったので鳥ベースなのだが、小型の獣肉も入っている、ごった煮スープだ。「おおい! こちらに温かいスープがあるぞ! 子爵夫人自らのお手製だ」「スープだって?」「温かいのか?」「いい匂いがするぜ」「よし! 其方達、ここに並ぶがよい! これは私の奢おごり故、たっぷりと食するがよいぞ!」「「「おお~っ!」」」 こんな所でスープを売ったり作ったりしている商人はいない。ここで売っている食料は、硬いパンと干し肉、そしてワイン。 輸送するのに時間が掛かるので、腐らないように、このようなラインナップになるのは仕方ないところ。 皿すら持ってない奴が沢山いるので、シャングリ・ラで500円ぐらいの深皿を80枚以上購入して彼等に分け与えている。 無論、これらの経費も子爵様に請求するため、プリムラがしっかりと帳簿に記してある。「うめぇ! こんなうめぇスープを朝から飲んでいいのか?」 注いでもらったスープをすぐに、人夫が一口啜すすって声を上げる。「腹いっぱい食して、今日も働くのだぞ!」「「へい!」」「おい、お前等! 時間があったら獲物を捕ってきてくれ。それを材料にして、スープを作ってやるからよ」「そうすれば毎日、温かくて美味いスープが飲めるって事か?」 人夫の1人から返答がくる。「そういう事だ」「「おお~っ!」」「そう解かりゃ、やる気が違うってもんだ」 料理に並ぶ人夫達が差し出す皿に、お玉でスープを注ぎ、大きな青いリボンで纏めた金髪。