らぬ」という観念が薄くなれば、日本の少子化も少しは改善するのではないかと、私も思うのでした。
そんなわけで、基本的にそれほど子供が好きなわけではない私ですが、しかしアラウンド四十歳の頃、今
までになくむらむらと子供が可愛く思えた一時期があったのです。たまたま姪が産まれ、まぁ普通の子ではあ
るもののやはり自分の姪ということで「可愛い」と思ったりしていたのが、呼び水になったのかもしれませんが、
もう一つ理由として考えられるのは、年齢的なこと。
四十歳前後といえば、女性にとっては出産が可能な最後の時期です。そろそろ下腹部では、『蛍の光』が
響いてこようという年齢なのです。
「いやいや、○○さんは四十八歳で子供を産んだからまだ大丈夫」
「私は五十代で子供を産んだという人を知っている」
などと言う方々もおられますが、その手の高齢出産をした人というのは「どうしても子供が欲しい」という非常
に強い意志のもと、努力と財力を傾注した皆さん。元々、子供に対する愛が強くない私が、そんなクソ意地
を出してまで妊娠への努力をするかといえば、そうではありません。
『蛍の光』とともに遠くへ漕ぎでていこうとする出産船に対して、「私はこちら側で手を振っているわ」と思って
いる私ではありましたが、それでも最後に残っていた一抹の母性のようなものが、私をして「子供、可愛い」と
思わせたのだと思います。だからこそ、顔がイマイチだったりうるさかったり汚かったりする子供でも、「まぁ可
愛い」と思えたのでしょう(全員ではないが)。子供達の無邪気な表情など見ると、目頭が熱くなりそうにもなっ
たっけ……。