モモは悔しそうな顔で、マリーナを掴んでいた手を離す。マリーナは胸元を汚らわしそうに払ってから口を開いた。「そんな低脳でよくメイドが務まりますわね? ああ。そういえば貴女、あのメイドらしくもない所の……嫌だわ、汗の臭いが移ってしまいそう」 くすくすと馬鹿にしたように笑う。モモは何も言い返せず、ただ拳を握った。それに気を良くしたのか、マリーナは更に続ける。「いいですこと? 私たちはいずれ世界一位となられる偉大なお方に仕えるメイド。誇り高きファーステスト家の名に恥じぬメイドでなくてはならないのです。それが何ですか。貴女のいる部隊、まるで傭兵ではなくて? それでメイドと言うには無理があるというものでしょう。そうね、カチューシャもないままの方がいいですわ。きっと頭突きがし易いですもの」「てめぇ……!」 あまりにも言葉が過ぎた。自分だけでなく仲間や隊長さえ馬鹿にされたモモは怒りを抑えきれず、思わず手を出そうとする。「暴力を振るうのですか? どうぞやってご覧なさい。それこそメイド失格ですわ」 マリーナはモモが殴れないのを良いことに、挑発を続ける。 ――そこへ、意外な人物がやってきた。