「でも……それに何の意味があるんです? 変わった花だなとは思いますが、あまり重要とは……」「意味はあるさ。赤い星形の石と聞いて、思い出すことはねえか?」「えっと……」「ついさっき、アマミが神殿跡地で地面の中をスキャンした時のことだよ」「あっ!」 アマミは小さな口を開け、思い出したように声を上げた。 地面の中をスキャンする時、アマミはこう言っていたのだ。 ――「何か……あります……メモ書きの近く……地中深くにたくさん……本当にたくさん……何万個も……それ以上かも……数え切れないくらい……」 ――「何がだ? 何がたくさんある?」 ――「赤い星です……」 ――「赤い星?」 ――「はい……赤い星形の石……いろんな形……大きさ……たくさん……ほんとうにたくさん……」「そう。神殿跡地には赤い星形の石が大量に埋まっているんだ。赤い星形の石……長いな、赤星と呼ぼう。その赤星が大量に埋まってたんだ。 さて、赤星はどんな時に出てくるか? さっき話した通りだ。魔法に失敗した時さ。魔法に失敗すると青い花が出現し、それが枯れると赤星になる。 つまり、神殿跡地には、魔法に失敗した跡が大量に残っているのさ」「で、でも……そうとは限らないのではないですか? 結果が同じでも原因も同じとは限らないじゃないですか」 アマミの言葉はもっともである。 たとえば、『地面が濡れている』という結果を見て、『雨が降った』と原因を断じることはできない。 もしかしたら、原因は『誰かが桶で水をぶちまけた』からかもしれない。『水魔法を使う魔物が現れたこと』が原因かもしれない。 同じ結果でも、考えられる原因は様々なのだ。 だから『赤星が埋まっている』という結果があるからといって、原因が『魔法に失敗した跡だ』とは限らない。 何か別の原因で赤星が発生した可能性もあるからだ。「確かにアマミの言うことはもっともだ。だがな、それでもやっぱり神殿跡地に埋まっていたのは、魔法に失敗した跡なんだよ。妖精王のメモ書きを覚えているか? こんなメモがあっただろ」 ――『今日も白い星石が光る。木から生えるほうの星形の石は、もう片方のほうと違って光る。不思議だ。なぜ光る? あと触り心地がいい。ずっと触っていたい。いいな、これ』「これを見て何か気づかねえか?」「え? うーん、なんでしょう……」「『木から生えるほうの星形の石は、もう片方のほうと違って光る』と言っているだろ? つまりな。星形の石は『木から生えるほう』と『もう片方のほう』の2種類があるんだ」 1種類目は、木から生えてくるパターン。 じゃあ、2種類目は?「1つしかねえだろ。魔法の失敗で生まれてくるパターンだ。つまり赤星さ。 要するに、星形の石は、木から生えるやつと、魔法失敗でできるやつの2種類しかない。 木から生えるのは白い星だから、赤い星ができるのは魔法に失敗した時だけだ」 だから、神殿跡地に赤星が埋まっていたら、それは誰かがそこで魔法に失敗したという意味である。 誰が失敗したか? 妖精王しかない。 なぜなら、リリィがこう言っているからだ。