名前というのはイメージ付けをする上で重要らしい。そういう意味でも日本は単語を生み出すのが好きなのだ。英字で略するものも多いかな。などと話していると、ウリドラもこくりと頷いてきた。「そうじゃ、マリーの魔法にも名前をつけてみれば良い。さすればおぬしの独自魔法として人々から認識されるじゃろう」「えっ、嫌よ恥ずかしい。あなたの杖がなければ出来ないし、それに職業レベルも高くは……あ、もう40を越えていたのだったわ……でも絶対にイヤ」 ふとウリドラと目が合い、にまりと互いに笑みを浮かべてしまう。イヤ、イヤ、ぜったいにイヤと拒否をする少女が可愛らしく思えたせいだ。となると指でつんつんと突付きたくのが人としての性だろう「うん、迷宮生成はどうだろう。なんだか凄そうな気がしない?」「そうじゃなあ、もう少し強そうにしてはどうじゃ。例えば精魔圧殺とかのう」 うふふ、僕とウリドラの手をぐいぐいと引いてくる様子の可愛らしいこと。河川敷沿いの小道を歩み、薄暗いというのに僕らの頬は緩んでしまう。「やめてやめて、2人が言うとそんな技能名になってしまいそうで嫌なのっ!」「いやあ、もし名前が付いたら凄いじゃない。世界にひとつだけ、マリーだけの独自魔法が出来上がるだなんて。……篭城戦とかは?」「うむうむ、もしそうなれば己を誇るべきである……戦略陣地でも良いのう」 あ、それがいいねとウリドラと指をさし合っていると、怒ったらしいマリーはぴょんとジャンプをし、器用に僕らの足を踏んでくる。 暗がりのなか、揃ってつんのめりつつも弾かれるように僕らは笑ってしまった。 まあ、きっとこのような会話は大型連休の陽気が誘ったのだろう。気が付けばスーパーはもう目の前だった。