「おぉ――! 流石KAI様です! いや、本当、納期が変更されて間に合わなかったら、私の首はどうなるのかと凄くヒヤヒヤしておりました! 本当にありがとうございます!」 俺から納品物を受け取った新庄は、何故だか凄く安堵あんどしている様な態度で受け取った。 ……変な男だな……。 そんなに焦るくらいなら、嫌がらせで納期を縮めなければいいものを……。 それに、このアンチウィルスソフトを実際に発表するのは、数か月先だったはずだ。 俺が納期に間に合わなければ、俺の責任問題にはなるが、この男自体はそこまで焦るほどじゃないはず。 いや、まぁ、無理な納期を言っていると言った責任は追及されるかもしれないが、それだけで首が飛ぶとは思えないが……。 ――まぁいい。 もう俺がこの会社やこの男と関わる事はないのだから。「それではKAI様、約束通り税金から引かれる分は先に別口座に入れ、KAI様の手元に入る分だけ、指定の口座に入れさせて頂きます」 そう言って、新庄が頭を下げた。「え……? もう準備されていたんですか……?」 俺は新庄の言葉に驚いた。 二千万ほどの大金がそんなすぐに動くと思っていなかったからだ。 それに、俺のアンチウィルスソフトが正常につくられているかも確認していないのに……。「これも上の指示でしたので――」「これも・……?」 俺は新庄が言った言葉に疑問を持ち、尋ね返した。「あ、いえ、何でもございません!」 そう言って、新庄は慌てて否定をした。 しかし、顔が『しまった!』と言った顔をしているため、口が滑った事は確かだ。 だけど、この男に問い詰めたところで多分何も言わないだろう。 おそらく社内機密の内容だ。 だとしたら、わざわざ気にするほどでもない。 もうプログラムは完成しているのだし、俺とはこれで接点を持てなくなる。 それに上とは平等院アリアの事だろう。 彼女が社長なら俺が関与した事は知っている。 もしそれ以外の人間なら、契約違反になる。 だが、平等院アリアが何か俺に接触しようとしても無駄だ。 向こうから、もう俺に連絡をとるのは無理なのだから――。 俺はそう結論付け、平等院財閥を去るのだった――。