蜘蛛の卵の味は? ダンジョン――というよりは、一本道の洞窟だったが、そこに巣食っていた洞窟蜘蛛という大物を退治した。 最初に俺たちが相手にしていたのはオスで、奥の住処には更に大型のメスが控えていたのだが――。 俺は新しい相棒――コ○ツさんのパワーを持って、これを粉砕。 戦利品をアイテムBOXへ入れて、水晶がある場所まで戻ってきた。「俺は、ここで水晶を掘っていくから、お前等は先に帰ってもいいぞ。この魔道具は煩うるさいから獣人達にゃキツイと思うし」 まだ昼前だ時間はたっぷりとある。「それじゃ、ウチは先に帰っているにゃ」「ミャレー、プリムラに皆は無事だと伝えてくれ。ニャメナはどうする?」「う~ん」「私はここにいる!」 アネモネは俺と一緒にいるようだ。「いいのかアネモネ? 岩を掘るだけだぞ?」「いいの!」 腰を下ろした彼女がヘルメットを脱ぐと、一緒について来ていたベルが横に丸くなった。 掘削音がかなり煩うるさいと思うが彼女の大きな耳で大丈夫かな? 彼女の傍らに水と猫缶を出してやる。「それじゃ、俺も一足先に戻るよ」 ニャメナも戻る事にしたようだ。そりゃ、この暗い中じゃ彼女達が出来る事が何もないからな。 獣人達と別れて、俺は発電機を回して電動ハンマで水晶を掘り始めた。 いくら派手に掘っても、もう奥からは何もやって来ない。そりゃそうだ、俺達が退治したからな。 そのまま3時頃まで掘り続けて、結晶の半分程が露出した。この結晶をまるごと掘り出して、高額査定をもらう作戦だ。 こんなチマチマとやっていると昔のテキ屋であった、カタヌキを思い出すな。「さて、残りは明日だな。そろそろ帰るか」「うん」「こんな所に居てもツマランだろ?」「いいの! ケンイチと一緒にいたいの!」「そりゃ、アネモネがいいって言うのなら、いいんだけどな」 洞窟内にオフロードバイクを出して、アネモネをリアシートに乗せると、洞窟内を走り始める。 後ろを見てないが、森猫もついて来ているだろう。「おっと忘れるところだったぜ」 洞窟の入り口へ放置したままだった方向探知機の親機を回収。結局、一本道の洞窟だったから、これの必要はなかったな。 そのまま洞窟を出ると湖まで一直線――水際を走り帰宅した。 明日いっぱい掘削をすれば結晶が取れそうだしな。バイクで帰った俺達をプリムラが出迎えてくれ、飛びついてきた。「ケンイチ! よくご無事で!」「ミャレーとニャメナから無事だって聞いてただろ?」「でも……」