試しに草を生やしてみよう。 予想通り、殺伐とした雰囲気は改善されないな。まあいい、これでタグの【草】は回収した。本来なら感想返しに使う予定だったのに、予想外に読まれすぎて失礼な感想を控えることになったので、使えるところで使わねば。 なるほどね、池谷は浮気した父親の遺伝子を色濃く受け継いでいるってことか。 もはや病気どころじゃねえ、生まれた時からの宿命だ。これは治らん。「……そんなのに騙される佳世も佳世だな。救いようがない」「生まれながらのジゴロにはかなわんだろ、世間知らずの佳世なんか。だからと言って同情はしないけどな」「当たり前だ」「で。もう一つ情報が。本当なら池谷は、北海道にある団蜀高校だんしょくこうこうへと進学する予定だったんだ」「……それが何か関係あるの?」「おっと、祐介は知らんのか。団蜀高校と言えばそっち筋では有名で、通称『薔薇高』といわれる、全寮制の男子校だ。バスケの名門なんだが、ど田舎にある環境で、他に娯楽がないところとして知られてる」 つまりなに? いわゆるBLというものが幅を利かせている環境ということ?「しかも寮は必ず二人部屋だという。……あとはわかるな?」「お、おう」 思わず尻を隠してしまった。夢の円陣連結も可能じゃねえか。新たな喜びに目覚めるやつも多数なのか? 想像したくねえ。百合百合しいならまだ尊いが、スネ毛の絡み合う世界は二次だけで充分だろ。「どうやらな、池谷は中学時代やんちゃしすぎて両親にその高校へと進学させられそうになったんだが、そのすぐ後に両親の離婚云々で進学の話がうやむやになって、結局ウチの高校へきた、ということらしい」「……」「まったく、人生って不思議だな。一つのほころびが次々と負の連鎖を生み出していく」「いや、ナポリたんだって、そんな大げさに言えるほど人生経験ないでしょ」「経験に学ぶのは愚者だ。ボクは賢者らしく、知識に学ぶ者でありたい」 ない胸を反らせてドヤるナポリたん。洗濯板が乾燥して反り返ったようにも見える。でもそう言ったら殴られるから言わない。 今の話で、引っかかるところがあるとすれば。 池谷の中学時代のやんちゃってなんだろう? ということなのだが。「まあ、今は池谷の中学時代を知る人間を探しているところだ。あとはまた分かり次第報告するから」 さすがは叔母である。以心伝心。「うん。いつもありがと、ナポリたん。本当に感謝してる」 心からそう思う。 ナポリたんと白木さんのおかげで、俺は気が狂いそうな毎日をなんとか普通に生きていられるから。優しい歌を作ったら、みんなに聴かせたい気分。「ば、バッカだなー。何を今さら。そんな言葉はいいから無言でボクを崇め奉ればいいんだよ」「照れなくても……ん?」 見る人が見れば悶え死にそうなナポリたんの照れ照れ顔を凝視していると、スマホが突然鳴った。 白木さんからだ。『ヨソウGAYノ テンカイ ココロ オレソウ』 不穏すぎる内容である。 だが、電報調は読みにくいからやめてくれ。 あと、GAYだと普通にゲイって読んじゃうからな。