……だめだ。 これは、私が、な、何か言わなくては、何か……。「お、お待ちくださいませ、陛下! わ、私は、先日学園を卒業したばかりでございます。その、まだ結婚できる年齢にたっしておりません!」 私はまだ婚姻できる年齢に達していない。 どうにか絞り出した理由がそれしかなかった。「ならば、婚約を結ばせろ。お前が成人年齢に達し次第、ヘンリーの妻とする」 というむげな言葉にめまいがした。 そんな私と、ねっとりとした笑みを張り付けたラジャラスとで目があった。「お認めください。リョウ=ルビーフォルン殿。これはあなたにとって悪い話ではないでしょう。これを受けなければ、私達はやはりあなたを罰しなければならないのです。あなたを助けるためと言って、民を暴徒とすることができるあなたの影響力は、あなたが思っている以上に罪深いのですよ。ルビーフォルン領との亀裂を覚悟しても、あなたの名声を潰しておきたいと思う者はいます」 ラジャラスが、私を見下ろしてそう言った。