「…ぇ、…ねぇ、…まねぇ!」自分を呼ぶ幼子(おさなご)の声に、はっと意識が戻る。「なんですか?」「いや、なんですかじゃねぇよ。やかん見なよ」その言葉を受けコンロに視線を向ける。やかんからは今にもお湯が吹きこぼれそうになっていた。「キャー、こぼれちゃいます~~!!!」慌てて火を止め、ほっと息をつく。「はぁ~。危なかった…。ありがとうございます、奏くん」「須磨ねぇ気を付けなよ。昔からどんくさいんだから。火を使うときにボーっとすんなよな」小学生に真顔で説教される大人とは…。少し悲しくなる。自分一人だと不安だからと、結局奏がお茶の準備を手伝ってくれた。リビングに運び、善逸が用意してくれていたお菓子と共にお茶を楽しんでいると、奏がおもむろに切り出した。