「あ、前みたいに僕の手を引いてくれるかい。シャーリーの髪を結ったら、ついでに霊体で彼を脅かしてみよう。なに、今日は日曜日だからたっぷりと長く遊べるからね」 日曜日という単語を彼女は知らない。しかし霊体を抜き出してほしいという提案に、彼女はわずかに瞳を驚かせる。それからおずおずと手を伸ばし、ふにゃりと柔らかな指先から掴まれた。 こうして彼女と触れ合えるなら、霊体を引きずり出されるというのも案外と良いことなのでは、と変なことを思ってしまう。 さて、それでは再開しましょうか。 勇者候補ザリーシュのためだけに開かれたホラー体験会を。 なあに、お代は気にしなくて構わないよ。 ただ君の喜ぶ顔を見たいだけさ、ザリーシュ。