大爆発 プリムラによる貴族との交渉が上手くいったようで、嫌がらせを受けていた彼女の店が再開出来るようになった。 早速、街で借りている倉庫での仕込みも開始されて、支店も始動。 店は開店休業中だったが、育成した人材の流出を防ぐために、休業にもかかわらずに店員には給金が支払われており、すぐに店を再開出来た。 プリムラのチェーン店に出資を行ない協力していた、支店長アイリスの親も胸を撫で下ろしているだろう。 そして、商売が再開すると、店先はすぐに客で溢れた。店の再開を待ちわびていた客が沢山いたのだ。 問題なく営業が再び軌道に乗ったので、プリムラはサンタンカの村へとプレゼンを始めた。 湖で採れる魚を使って、干物やスモークサーモンを生産させて、それを街で売るためである。 俺のようなオッサンが行っても警戒されてしまうだろうし、クロトンの件で村とは少々揉めているからな。 その点、彼女は有名なマロウ商会の娘。ダリアの大店であり、ドライジーネを作ったマロウ商会はアストランティアでも名前を知られている。 やはり信用が違う。彼女は干物やスモークサーモンのサンプルを持って、交渉に当っているのだが、プリムラはマロウ商会でも、マロウさんの右腕として働いており、交渉術にも長けている。 そりゃ子供の頃から、商売や交渉の手ほどきを受けているんだ、英才教育ってやつだろう。 その彼女に、村へのお土産も持たせた。俺が使っているのと同じ、高さ60㎝の燻蒸器だ。 運んでいるのはニャメナだが、トタン製でペラペラなので、そんなに重くはない。 ちょっとオーバーテクノロジーかもしれないのが気になるが――まぁ、似たような物を鋳物や木の板で作れない事もないから、大丈夫だろう。 後は、スモーク用のチップだが、村には獣人もいる。彼等の鼻を使えば、香木を見つけるのも難しくないと思われる。 ――そのプリムラが帰って来た。「村の反応はどうだった?」「とても良かったです。燻製もとても美味しいと評判でした」「作ってくれそうか?」「はい、村長も乗り気になってましたが――それから……あの」 なにやら、プリムラが言いにくそうにしているのだが、何かあったのだろうか?「ん? どうした?」「湖で爆発を起こすのは止めてくれと言われました。魚が採れなくなるからと」「ああ、それは悪い事をしたなぁ。何かお詫びの品を持っていくか? 何か良い物はないかな?」「村では、油を欲しがっていましたから、それでどうでしょう?」 油なら、シャングリ・ラで買えばいいからな。安上がりだ。 しかし、容れ物が無いな――シャングリ・ラで壺を検索。3升(5.4L)入る信楽焼の壺がある。これでいいだろう。 壺と一緒に、一斗缶入りのキャノーラ油を3缶購入して、容れ物の中を満たす。 今度、村へ行く時にニャメナに持って行かせればいい。 村の方はプリムラに任せていいが――さて、俺はどうしようかといえば……。 アネモネの騒ぎで有耶無耶になってしまったが――崖に穴を開けて、アネモネの魔法で発破を掛けられないかの実験だ。 発破が出来れば、他の場所で鉱石を掘ったりするのに使えるかもしれない。 一度、試してみたい。 プリムラとニャメナが街へ出勤。ミャレーが狩りに出かけた後、アネモネに魔法の実験を頼んでみる。「アネモネ、君の爆裂魔法で試したい事がある。手伝ってくれるか?」「いいよ」 彼女の了承を得たので、計画を進める事にしたのだが、さて……どうするか。 コ○ツさんの油圧ブレイカーで採掘するために、足場をずらしてしまったので、昇るためのスペースが無い。 再び、足場をずらすのも、新規に足場を組むのも面倒だ。