ボロボロになってしまった西条さんを突き放したのは、間違いだとアリス様はお考えになっておられます。 力をつけさすにしても、他にやり方があったと。 だからアリス様はすぐに、西条さんのケア役として梓さんを――そして、西条さんの力になれる様に神崎さんを学園に忍び込ませたのです。 ……まぁ神崎さんの事を当時の私は、アリス様が忍ばせたのは予想していただけで、アリス様から事実を知らされていたわけではなかったですし、私が紹介した梓さんは本当に役に立たなかったわけですが……。 ……あれ……? やっぱり私って、アリス様に信用されていないんじゃないんですか……? いえ、それよりも――本当に梓さんをアリス様に紹介したのは、私にとって人生最大の汚点ですよ……。 アリス様は急遽教師として紛れ込める人材が必要だったという事で、私の紹介を信じてご自身の目で確認をされずに入れてくださったというのに……。 本来ならアリス様自身の目で必ず確認されていたでしょうから、梓さんはとんでもない悪運をお持ちなのでしょうね……。「そうですね……今の雲母は、もう昔の優しかった子ではありません。しかし、その代わりに力をつけれたのなら良いとも思っていたんです。ですが、今回の勝負はどういう事でしょうか? 時が来るまでは、アリスさんがアリアさんを遠ざけて、雲母が完全にアリアさんを上回れるようになったら勝負をする様に仕向ける話だったはずですが……?」 西条社長がそう言って、アリス様を見つめられます。「思わぬ接触があったのは事実だけど――今回勝負が行われた事は、西条の子にとって最高だった」「それは何故です?」「今の西条の子には――KAIがついてる」 アリス様がそうおっしゃられると、西条社長達が驚いた顔をされました。「KAIってあのKAIですか!? どうして雲母に!?」「西条の子が持って生まれた運のおかげ。その人物がKAIだというのも、アリスが保証する」 アリス様はそうおっしゃって、頷かれました。 本当はご自身がそうなるように導かれたというのに……。 あくまで、西条財閥には恩を売る気がないという事ですね。「今回KAIが何処まで力を貸すか――どれだけ西条の子が自分の力で戦うかはわからない。だけど、KAIは西条の子を勝たせる気でいた」「おぉ――! あのKAIが付いてくださるのなら、安心です!」 西条社長達はそう喜ばれた。 KAIが学生だと知れば、どれだけ驚くでしょうか。 しかし、アリス様は絶対その事はおっしゃられないでしょうね。 おそらくアリス様の大切な基準としては、神崎さんの優先順位はアリアさんの次――もしくは、同等でしょうから。「勝負に絶対は無いけどね……。ただ今日来たのは、聞きたい事があったから。もし今回西条の子がアリアに勝ったら、西条の子をどうするつもり?」「それはもちろん、家に戻って来させますよ! いやぁ――恥ずかしながら、雲母を家から追い出してからというもの、心配で心配で仕方がないんですよ……。結局試練を与えると言っておきながら、可哀想で雲母が持ってるお金は没収しませんでしたしね……。あれだけあれば、贅沢な生活をして暮らしても全然おつりが来るのに……」 KAIが味方についた事を知ったからか、西条社長は和やかな雰囲気を出していました。