「随分と気前がいいじゃないか。金を持ってるなら、私も雇わないかい?」「ウチには小さな大魔導師様がいるから、間に合ってるな」 だが、俺に抱きついた女に、獣人達が毛を逆立てた。「このBBA何やってるにゃ!」「ざけんなぁ!」「暗闇から伸びる漆黒の蔦つたよ、生きとし生けるものを絡めとり、その動きを封じよ――拘束バインド!」 女の言葉と共に、獣人達が金縛りに合ったかのように動かなくなった。「へぇ、そういう魔法もあるんだ」「激しく動く相手にゃ、使えないけどね。物がデカいと数秒しか止められないし」 そう言ってる内に獣人達が動き始めた。「しかし、攻撃する間は十分にあるな」「まぁ、そういう魔法だからね」「くそ、離れやがれBBA!」「そうだにゃ!」「まぁまぁ、待て待て。魔法の話を聞いているところだから」 この世界は情報源が少ないからな。僅かな情報でも、機会を逃さず集めていかないと。「ねぇ? その指輪がないと、どういう事になるの? ちょっと興味があるんだけど?」「やめとけ、オススメしないぞ」「いいからぁ」 女が俺の首に腕を回してきたので、指輪を外して胸をもむ。 すると女は、すぐに俺から離れてしゃがみこんだ。「おほっ! やだ! これはヤバいじゃないの! 上がってた生理がまた来そう!」「子供の前でそういう事を言うんじゃない」 指輪を指に戻したが、これは使える。「魔導書の登録は1週間ぐらい掛かるんだよな? この街にいつまでいるか解らん。急いでやってもらえるか?」 そう言って、金貨を21枚出した。「上客の頼みじゃ仕方ないないねぇ。私と一晩付き合って貰えれば、明後日には出来ると思うけど?」「いや、妻もいるので、それは遠慮しておく」「なんだい、獣人の女を2人も囲っているのに、随分と堅いねぇ。あの森猫もあんたのなんでしょ?」「そうだけど、森猫も勘定にいれるなよ」 まぁ、もうちょっと若い女なら、俺の気持ちも揺らぐんだけどな。「むう……」 アネモネが睨んでいるので、ここら辺にしておく。 ついでに、ドワーフがやっている鍛冶屋の場所を教えてもらった。ちょっと通りから離れた場所にあるらしい。 俺がアイテムBOXから出した紙に、地図を書いてもらう。