****** Result for Image/Page 18 ******「で、ですが、奥様が産気づかれて:::」「なにいっ産婆の話ではまだ一〇日は先という話だったはずだぞ」「そ、そうなのですが、実際に産気づかれておりましてまちが「ちいつ、産婆を呼べ!ああ、も、つ一人、別のもだ。一〇日も読み間違えるような無能に我が子を預けるわけにはいかん」言い捨て、父親はバタハタと部屋を出ていく。おそらく妻の、ロプトの母親のところに行ったのだろう。めかけつらめ側室や妾を持っても許されるだけの地位にあるのだが、妻一筋を貫いているのだ。子供の目から見ても、べタ惚れである。ひづめ《蹄》を追われた俺に身一つで付いてきてくれたのはあいつぐらいだ、というのが理由らそこでふっと疑問が浮かぶ「父さん、他人を信用するなって言っていたけど、母さんも信用していないのですか?」いよいよ産気づき、女たちに部屋から追い出された父親に、ロプトは尋ねる父親は目を丸くして、ばか「馬鹿を言うな。母さんは家族だ。他人ではない!」おくさまさんば****** Result for Image/Page 19 ******「家族ならよくて、盃の親兄弟はだめなのですか?」けっえん盃もまた、血縁のない者たちが家族となるためのものだったはずだ。血のつながりか?だが、父と母には血のつなカりはない。それでも家族だから信用するという。いったい何が違うのか、何がその二つを決定的に分けているのか、ロプトにはまるでわからなかった。「そうだ。幼いお前にはわからんかもしれんが、盃の兄弟など、水面下ではどろどろと権とうそう力闘争に明け暮れている。ろくなものではない」「そういうもの、なのですか」自らの思い定めた人間と盃を酌み交わし、親兄弟になるきずな血よりも濃い絆で結ばれるおおかみもそ、ついう本当の仲間たちと手を取り合い、《狼》を守り立てていくあわそんな淡い子供の夢が、親の手により無残に打ち砕かれていく。だが、父親はロプトのそんな心情には気づかない。「うむ。俺が信じられるのは盃のではなく、お前たち本当の家族だけだ」****** Result for Image/Page 20 ******:これから生まれてくる子も、家族、ですよね?」おそるおそるという体で、ロプトは父に尋ねるかしこゅうしゅう父親は、ロプトが賢く優秀であったがゆえに、見落としていた。人には何かしら寄る辺が必要だということを幼いならば、なおさらであるとっぜんそれを突然失い、ロプトは強烈な不安にさいなまれていた。これから生まれてくる子は、どうなのだろう?その子は家族なのだろうか?もしそうでないのなら、自分はその子も信じず疑いの目を向けながら、嘘の仮面を被って接し続けなければならないのかせつかく同じ父と母から生まれた兄弟だと言うのに。かわい「当然だ。お前の弟か妹になる。家族に決まっておろう。可愛がってやれ」「は、はいっー」あんどほっと安堵を覚えつつ、ロプトは力強くうなずく。それこそ望むところだった。可愛がらないはずがなかった。うそ