屋敷の玄関前で、コウお母さんとも合流して、早速伯爵邸の客室に案内された。 ちなみに同行してくれた護衛の皆さんやシュウ兄ちゃんは、別棟で待機してくれている。 しばらく、案内された客席で、お茶を飲んだり、コウお母さんとお話して待っていると扉がバンと開いて、アイリーンさんが現れた。 確かに軽く杖をついて歩いてはいるけれど、見た感じ軽そうなお怪我でホッとする。「アイリーン奥様、お久しぶりです」「ええ、リョウさん、久しぶりね。ああ、あえて嬉しいわ」 そう言って再開の抱擁をすると、後ろにアイリーンさんの夫のカーディンさんがいて、同じように再会の抱擁をした。「お二人がご無事でよかったです。アイリーンさんの足は、その、大丈夫ですか?」「ええ、もうほとんど治ってるのよ。一応念のために杖を持ってるだけ」「ダメだよ、アイリーン、僕のかわいい妖精さん、無理は禁物だ。ちゃんと自分の体は大事にしないとね。ああ、君の痛みがすべて僕に移ればいいのに!」 そう言ってカーディンさんが、見てるこっちが恥ずかしいぐらいの甘ったるい目でアイリーンさんを見つめると アイリーンさんも見つめ返して「もう、ディーンったら、過保護すぎよ。こんなの平気」と恥ずかしそうに笑った。 あー、うん。 どうやらお二人の仲も今まで通り順調そうで何よりでございます! なんだか見ていられなくて視線をそらすと、なんとチーラちゃんもお部屋にやってきた。「リョウお姉様ー」 とよんで私に体当たりしてきたので、私は屈んで抱きしめる。「チーラちゃん、お久しぶりです。元気でしたか?」 ていうか、大きくなったね! いまは6歳ぐらいかな? チーラちゃんは元気いっぱいの笑顔で私を見上げると、「リョウおねえ様、会いたかったの! しばらくこちらにいるのでしょ? また遊んでくださるの?」と言ってきた。 うん、数日お邪魔するつもりだけども、というか言葉遣いがちょっと一丁前になってきてる! ものすごいご令嬢感! 子供の成長具合に驚きを隠せないでいると、また新しく誰かがやってきた「やあ! リョウ、いや、ルビーフォルン商会の商会長殿! ずっと会いたかったんだよ! 色々聞きたいことがたくさんあってね!」 と、クロードさんがすごい勢いで話しかけてきた。 きたきたー。くると思いました。 クロードさんの目がギラギラしている。 わかってる。わかってますよ。蒸留酒のことと、あとマッチのことでしょう? 話します。 話しますから。 そして、ガシっと二人で、再会の握手を交わしていると、ぼそっとクロードさんが、「じゃあ早速今日の午後時間作ってくれるね?」と、有無を言わせない口調で言ってきた。 今日の午後って、今まさに今日の午後なのですが! 少しはゆっくりさせてくれないだろうか。こちとら結構な長旅で疲れてるのよ……。 そして、新たな入室者が、そんな勢いあふれるクロードさんの肩に手をおいた。「クロード叔父様、リョウは先ほどついたばかりで疲れているはずです。しばらくこちらに滞在する予定もありますし、そんなに急がなくてもよいのでは?」 と、困ったような笑顔で私のフォローをしてくれたフォロリストカイン様!