(ありがとう、マスター)私に向けられた感謝の言葉が、とても嬉しかった。堰を切ったようにアイリさんの愛情が流れ込んで来て、一気に体が小さくなっていく。6歳、5歳、4歳…… と、年齢退行が止まらない。幼くなればなるほど、アイリさんの母性がさらに強くなっていく。言葉や行動に中和されたものではない、包容力のある愛情が直接私になだれ込んでくる。エストロゲンそのものが私を癒して、そして飲み込んでいく。アイリさんに還り続け、ついに私は産まれる前の姿になった。手足は短く丸く、目はもう開かない。それでも体は縮み続ける。原初と呼ぶには、まだこの体は大きすぎる。きっと分子レベルに分解され、吸収されるまでは終わらない。視力と聴力が消失し、手足の感覚も無くなっていく。アイリさんから伝わってくる感情だけが、私の存在を証明している。もはや人間ですら無くなっているのに、恐怖感は全く無かった。だって、アイリさんに心も体も守られているから。ここには辛いことなんて何も無くて、ただただアイリさんに包まれていられる。私を構成する要素のほとんどがアイリさんに吸われて、自分が何なのかよくわからなくなっていく。頭の中がぐるぐるしてきて、なにもかんがえられなくなる。ふわふわ、とろとろできもちいい。(原初に還るのは、怖いことじゃないのよ)アイリさんがすきで、アイリさんがくれるものすべてがすき。おなかのなかはあたたかくてすき。とくんとくんとなつかしいおとがすき。(そのまま、私にすべてを委ねて)わたしがとろける、とろけてなくなる。とろけたところから、アイリさんにかえっていく。アイリさんとひとつになっていく。(心配しないで、私が守ってあげるから)アイリさんのことばが、アイリさんのおもいが、わたしのこころまでとかしていく。わたしがわたしじゃなくなっていく。わたしがなくなっていく。アイリさんとひとつになれることがすっごくしあわせでうれしくて、もっととろとろになりたいし、はやくわたしのすべてをたべちゃってほしい。とろとろ、とろとろ、とくんとくん。もうわたしは、ちっちゃなつぶしかのこっていない。わたしがきえる、なくなる、きもちいい……おかあさん、すき、だいすき……