その部屋に入ると、たくさんのうめき声が聞こえて、それに異臭がした。 吐瀉物の匂い、血の匂い……何かが腐ったような匂い……。 目を背けたくなるような状態の部屋の中で、比較的清潔そうな場所に、見たことのある金髪が目に入る。 セキさんがその場所に駆け寄って、声をかけた。「リュウキ!」 名前を読んでも、返事はない。 苦しそうに息をするリュウキさんが、横たわっている。 リュウキさんの体を見ると、小さな擦り傷と、太ももに大きな怪我があるようだった。そこに布が巻かれて、その布が赤黒く変色していた。「すみません。本当は、薬を塗らなければならないのに……けが人が多く、リュウキさんが怪我をしてしまったときには、すでに薬を切らしてしまったのです。新たに薬草を取りに行くにも……魔物が多く……」 ここまで案内してくれた男性が、申し訳なさそうに、セキさんに説明をした。