「お~い、アネモネ」「は~い!」「この白いお風呂を2つ、魔法で沸かしてくれ。2つだけど大丈夫か?」「うん、いつものお風呂と同じぐらいだよね?」「多分な」「む~! 温めウォーム!」 お風呂なので沸騰させる必要もない。すぐに湯気が立ち始める。魔法ってのは便利なもんだ。 憤怒の炎ファイヤーボールと違って、魔力の消費も少ないらしい。 いままでは、火炎放射器ファイヤーボールで目玉焼きを作るみたいな事をやっていたからな。「カナン様、お湯が沸きましたので、湯浴みをどうぞ」「なに?! こんな所で風呂だと?」「はい、こちらへ」 夫人を小屋の中の風呂場へ案内する。床が濡れてしまうが、風呂の水を捨てた後で、アネモネの魔法で乾燥させればいい。「なんと! まさしく風呂だ!」 小屋の中へ足を踏み入れ、お湯で満たされた湯船を見て夫人が叫んだ。「これが拭き布で、こちらが湯上がり後のローブでございます」 俺がバスローブを夫人に見せると、彼女がそれを手に取り、手触りを確かめている。「これは、なんと上等な……」「それでは、ごゆるりと」「其方は入らぬのか?」「私は家族と入りますので」「よし、それでは命令だ。私と一緒に湯浴みをするがよいぞ」 ええ? すぐにこういう事を言い出すんだから、貴族ってのは困ったもんだ。