「……ケンイチと一緒にいる」 その答えを聞いたアナマは、奈落の底へ落ちたような顔をして両肩を落とした。 余程ショックだったのだろう。「ははは! アナマ姉さん! 12歳っちゃ、もう大人だよ。母親代わりより男が良いのさ」 すでに半数程に数が減っていた女達が、アナマに茶々を入れる。「お黙り! アネモネ、辛くなったらいつでも私の所へ来ても良いんだよ?」 アナマはアネモネの両肩をつかむと、優しく彼女に呟つぶやいた。「……うん」 アナマは憔悴した顔つきで帰路についたが――大丈夫かな? 余程ショックだったようだが……。 まぁ、これは本人の選択だからな、俺には何も言えない。 彼女には悪いが、アネモネが望むようにしてあげたい。「そりゃ旦那! 女の幸せってのは好きな男と一緒にいる事でしょうや」「そうそう!」 女達はそう言うのだが、アネモネが望んでここに残ったのだ、出来る事はしてやりたいと思う。「それにしても旦那ぁ」「なんだ?」「こんだけ女がいるんだから誰に手を出すか――皆で賭けをしていたんですが、本当に手を出さないつもりですか?」 2段ベッドに腰掛けている女達が何やら言い出した。「何を言うんだ。男に嬲られて酷い目にあった女達に、そんな事を出来るはずないだろ」「はぁ……こんな、人が良い旦那で大丈夫なのかねぇ。あたしゃ心配で働きに行けないよ」「旦那になら、どんな事をされても良いのにねぇ」「そうそう」「そんな心配は要らんから、とっとと働き口を探して来い!」「はいよ~」「「「あはははは!」」」 酷い目に遭った女達だが明るく前向きなのが救いだ。 早く皆の仕事が見つかれば良いのだが……。