雨が降り頻るじめじめした日だった。梅雨の時期に差し掛かり鬱陶しいほどよく降る雨は、今はかえってありがたい。どんな音や声が漏れ出たとしてもよほど耳が良くなければ聞こえない此処は、山王工業の裏山で見つけたものだ。比較的新しい山小屋の中で5人と1人は、熱い息を吐く。「ようやく揃ったピョン。始めるぞ」普段と変わらず感情が読み取れない顔で告げる深津が、一言告げる。今か今かと期待の表情を浮かべる沢北、楽しそうに頬を緩める一之倉、いつでも周囲のストッパー役を買って出る腹積りの野辺、いつも通りの態度でいる河田。深津の左右には4人が佇んでいた。