そこに並んだ看護師姿の全員に私の見覚えのある顔が並んでいた。 その四人は……尚美、織江、麻由美、礼子は看護学校時代に仲の良かった四人。さらに私たちが知らない顔が二人いたんだけど、そっちには凛たちが驚いて声をかけていたから凛たちの顔見知りじゃないかと思う。 そして……私も驚いたけど、それ以上に淑子があまりの驚きで呆然としている原因の女性が一人含まれていた。「な、なんで理緒さんがっ?」 私たちに妊娠指導をしてくださった矢島総合病院の看護師、理緒さんが満面の笑みを浮かべていた。Vサインなんかして、イタズラが成功したみたいにそれはもう最高に良い笑顔で。「実はね、円満移籍っていうか……矢島総合病院で産婦人科を増やすって話は聞いてる?」「はい、確か検討中って聞いてましたけど」「そう、それが決定したの、開設は来年の春よ。それで、産婦人科の看護師長に内定したのが私なの」「ええっ」 つい先日、長女を出産したばかりの理緒さんは出産前とは比較にならない柔らかな笑顔で微笑んだ。 一方、私は四人に詳しい話を聞こうと歩み寄る。彼女たちも私たちの驚いた様子にイタズラが成功したように嬉しそうに微笑んでいて……あれ、卒業してから会っていなかったけど、なんだか急に大人っぽくなったというか、艶やかになったというか。(あれ、ちょっと待って。さっき大家さんが正式採用って言ってたような……ああっ、もしかして!) その考えが頭をよぎった瞬間、彼女たちの着ている制服が『妊娠しているときに斬る制服』であることに気付いた。「もしかして、尚美たち……全員妊娠してるの?」 私が確信をもって声を上げると、四人共全員が揃って笑みを浮かべた。「あは、バレたか。実はね、宮野先生に声をかけられてね……私たちも採用試験を受けたの」「絢たちもこれから揃って出産するでしょ?」「それはまぁ、そうだけど」「それに、これからも妊娠出産を繰り返すわけだから、交代要員ってことでね」「私たちも全員が無事妊娠して正式採用が決定したの。これからは同僚になるから、よろしくね」