説明書を読んで愕然とした。 丸一日使っていても、たったの24円。一ヶ月使っていたとしても……。「こういうのを日本ではエコと呼ぶのでしょう? エアコンは高いと聞くから、私がひとり部屋にいるとき気になって仕方なかったわ」 いやいや、エコロジーの枠をとっくに飛び越えているからね。普通なら氷を作る電気代のほうが高くなるというのに。 参りましたと見上げると、髪をかきあげたまま少女から唇を重ねられてしまう。 ひんやりとした肌はどこか心地よく、呆けた頭へ「じゃあテンプラという物を作りましょう」と声をかけられ、ようやく我に返る。 ごく自然な口づけというのも、どうやら僕は魅了されてしまうらしい。 少女から、にっと楽しげに笑いかけられ、そしてキッチンへと僕の手は引かれてしまう。 こうして僕らの楽しい夏は始まったわけだ。 7月の終わりは真夏日を迎え、35度という記録だったらしい。 とはいえ今年の夏は、今までにない快適さ、そして楽しいものになるだろうと予感した。