仕事が終わりワンモアにログイン。そして宿屋の女将さんに直接聞きたい事があるために女将さんの部屋へと直行した。
「お仕事中申し訳ございません」
「あらあら、どうなさいましたか?」
運よく女将さんは部屋にいらっしゃったので、早速龍王様のことを聞きだす。
「龍王様はどうなりましたか?」
「お城へとお帰りになられました、物理的に」
物理的……この響きに何故か自分は恐ろしい物を感じたが……。
「あの、その物理的にとはどういう事でしょうか?」
「龍王様の奥方様が直々にこちらへ出向かれまして、物理的に腕力で城へ引っ張っていかれましたという意味でございます」
そういえば今の今まで一切話に出てこなかったから、てっきりもうこっちの世界には居ないものだと考えていた龍王様の奥様だが……。
「あの、大変失礼ですが、龍王様の奥方様とは一体どのようなお方ですか?」
「そうでございますね……少々昔の話ではありますが、左手一本でドラゴン族の黒竜を枯れた木の枝でも投げるかのようにぽいっと掴んで投げたという実話がございますが」
──え。