「ウリドラ、猫のときの寒さはどうなのかしら。暖房があったほうが良いと思う?」「そうじゃな、ふかふかの布団、それと暖かさがあれば尚良い。しかしさほど困ってはおらぬぞ。どこかの寒がりエルフと違うてのう」 にいと楽しげな笑みを向けられ、エルフは少しだけ頬を膨らます。 そういえばエルフの森は気候が落ち着いており、冬の寒さもそこまで長くは続かなかったか。 防寒用の服、それに暖房のことを考えていると、ぴいいとヤカンが鳴り始める。 火を止めると、ふと思い出すものがあった。「マリー、そういえば火とかげは暖房に使えたりはしないのかな?」「え? うーん、難しいわね。あの子は好奇心が強くて危ないの。勝手にのそのそ歩き出してしまうから、今の私では火事の元になりかねないわ」 う、それは怖いな。 コンロを見て僕が思い出したのは火とかげのことだった。真夏日にはクラゲのような氷精霊が活躍してくれたので、それと同じように出来ないか聞いてみたのだ。 しかし少女とウリドラは何か思うところがあるのか、大きな瞳を天井に向けていた。