残りの買い物を終え、お昼ごろマンションに帰ってこれた。バタンと車のドアを閉じてからトランクに収まっている箱を取り出す。 ダンボールを持ってみるとずしりとした重さがあり、思わず笑みを浮かべてしまう。横を向くとマリーも同じような顔をしており、たまらず彼女は吹き出した。「ぶふっ! もう、あなたって子供ね。こんな玩具で喜ぶなんて。ね、ね、早く運んで頂戴。すぐに飾りたくてたまらないわ」 あれ、マリーの方が喜んでいる気もするんだけど。 しかしこういう大型の玩具、しかもクリスマスツリーを運ぶなんて、確かにちょっとだけ楽しくなるね。 クリスマス時期らしい包装紙、そして色とりどりのオーナメントの詰まった袋に気分は高揚してしまう。普段はこんなグッズなんて買わないのに、クリスマスというのは不思議な魔力でもあるのかな。 いや、違うか。早く早くとエルフさんから背中を押されているせいだ。こんなのニヤけてしまうに決まっている。 顔を引き締めるのに苦労しつつエレベーターへ乗り、上階へ向かうあいだマリーは袋をがさがさと漁り始める。手にしたオーナメントは赤と金の装飾がされており、まるで大量の宝石を手にしたように思うかもしれない。 その輝きに少女の表情も緩んだ。「ああ、何かしら、このワクワクする感じは。信じられる? 私たちの家にもうすぐツリーを飾ってしまうのよ?」「普段ならまず買わないアイテムだからね。じゃあ飾り付けの隊長はマリーに任せようか。僕らを的確に導いてくれると嬉しいよ」 マリーは楽しみだと言うようにその場で何度か足踏みをする。それから僕の肩に頭を当て、ぐりぐりとこすりつけてきた。「~~~~……っ! やだもうっ、あなたのニヤニヤ笑いが私にまで移ってしまいそう。ああ、いまご近所の方に顔を見られたら大変だわ。落ち着いて、落ち着いて」 すーはーと深呼吸を繰り返しているようだけど、僕のほうこそ頬が崩壊してしまいそうだからね。可愛い子からこれだけ喜ばれるとね、大人というのは本当に弱いんだよ。 ちーん、という音が響き、僕らの階に到着した。 さて、残りの買い物袋を運び終えると、いよいよダンボールを解く時がやってきた。取り出してみるとコンパクトに収められていた事もあり、エルフと猫の表情はまだ乏しい。