だがよく考えてみると、ここはツボルトだ。〈剣の迷宮〉だ。たぶん王国のなかで、量においても質においても最大最高の剣が得られる場所だ。王国で最も優れた剣の鑑定士が集まることに、何の不思議もないのかもしれない。「私は聞いた。なぜお帰りになるのか。約束の期間は終わっていないと。すると老師は答えた。侯爵閣下が私との約束を破った。誓いはけがされ、踏みにじられた。ゆえに私は帰るのだと」(案外激しい気性だったんだな、あのじいさん)「このことをお聞きになった伯父上の、侯爵のお怒りはすさまじいものだった。額を地面にこすりつけてでも老師にツボルトに残ってもらえとの仰せだ。私は老師を訪ねた。すると、まずレカン殿に謝罪するのが先だというのだ。それでここにやって来たのだ」