勝負は一瞬。「始め」の号令から一秒と経たぬうち。 マサムネ殿が抜刀した直後、セカンドの《角行抜刀術》による突きが、その刀身の中心を捉えた。 光の如き速さで動く刀を刀で捉えるなど、ましてやそれを命懸けの勝負の初手で、しかも基本は不利となる後攻で行うなど、まさしく想像を絶する。 この男、一体何処までおかしいのかと、私は愕然とした。 ……結果、甲高い音が鳴り、マサムネ殿の刀が大きく横へ逸れる。 大きすぎる隙。「二の太刀が決まる」――私がそう思った刹那、セカンドは驚くべきことに、納刀しながら《金将抜刀術》を発動した。 何故そのようなことを、と。疑問に思う間もなく、その理由がすぐさま明らかとなる。 読んでいたのだ……マサムネ殿の、脇差の一撃を。 マサムネ殿は瞬間の判断で刀を手放し、もう一本の小刀、脇差に切り替えんとしていた。 天晴れ! と言わざるを得ない。あの一瞬でそこまでの判断ができるなど、流石は十六歳にして家元となった才の持ち主である。 ……しかしながら、その上を行く者がいた。憎らしいことに、軽々と。 恐らくセカンドは、刀に与えた一撃の僅かな手応えの違いで、マサムネ殿の次の狙いを見切ったのだろう。マサムネ殿の繰り出す脇差による必殺の一撃、その延長線上に、ひょいと軽く置くようにして、《金将抜刀術》の反撃を用意していた。「そん、なっ――!!」 マサムネ殿は、成す術なくセカンドの《金将抜刀術》へと斬り込んでしまう。放り投げた石が空中で止まれぬが如く。「すまん、痛いぞ」 セカンドは一言呟いた。 直後、くるりと刀を回し、強烈な反撃を入れる。 がら空きとなった、マサムネ殿の心窩へと……。