「ぱく」「ひぃぃ!」「ふぎゃ?」 煩うるさい獣人達は放置して、少しだけ口に入れてみた――が、変な味はしないし、旨味もあるようだ。 ――というか、結構美味い。 これでしばらくして、腹が痛くなったりすれば毒が含まれている事になるのだが。 卵の中身ってのは、身体が構成される前のタンパク質がドロドロの未分化の状態なので、この段階で毒って事はないと思うのだが――一応念のためだ。 時間を置いて大丈夫であれば、さらに食う量を増やしてみる事にする。「旦那、正気かい?」「ああ、まぁな。お前たちに食わせたりはしないから心配するな。ははは」 獣人達は耳を閉じて尻尾を股の間に入れている。見るからに完全にテンションがダダ下がっている状態だ。 その後、そのまま夕方になったが腹の具合はなんともない、明日はもう少し食う量を増やしてみようと思う。 あまり無茶して七転八倒したりすると皆に迷惑が掛かるからな。慎重に事を運ばねば。 まぁ、そこまでして無理に食う事もないような気もするが、せっかくのファンタジーらしい食材じゃないか。 ジビエとかスローライフっぽいしな。何より日本人なら、食えるのか? 美味いのか? とても気になるじゃないか。 外で夕飯の準備をする。スープはプリムラが用意すると言うので任せてしまう。彼女はすっかりスープ作りの名人だ。 皆で食事を取った後――闇夜の中で、家からちょっと離れた場所にアイテムBOXから小屋を出した。 そして中には液体を分ける魔道具を設置。 何をするのかというと――大食らいの大型重機を買ってしまったので、燃料が大量に必要なのだ。 調子に乗ってデカいのを買ってしまったが、あのコ○ツさんの燃料タンクは400Lぐらい入るからな。 ユ○ボとコ○ツさんの大きな違いは、なんといってもその大きさ。 アームを振り上げた高さは、ユ○ボの4mに比べて、コ○ツさんは9m以上と倍以上違う。 重量も、ユ○ボは4tトラックにも積める3t程だが、コ○ツさんのほうは――以前聞いた話だと20t前後と超重量級。 シャングリ・ラにはもっとデカイ重機も売っているのだが、寸法的には、この重機の1.5倍の大きさぐらいならなんとかなりそうな感じではある。 俺は、その大物が食らうための大量の燃料を生成する仕掛けを作った。 魔道具の上の器に水位センサーを取り付けて、油面が下がったら電動ポンプで追加の油を汲み上げるカラクリだ。 これで連続してバイオディーゼル燃料が大量に作れる。 さて、油を入れる容器だが、浴槽がいいかな? シャングリ・ラで浴槽を検索すると、青色のジャンボタライというのを見つけた。 容量は120Lある。これなら余裕だ。