タイトル戦3つに出場できるということは、すなわち3つの“大スキル”において全ての“小スキル”を九段にしたということ。これは途方もない経験値量である。 メヴィウス・オンラインというゲームは、基本的に魔物を倒すことで経験値を得られるが、ただ手当たり次第に倒せば良いというわけではない。プレイヤーのステータス並びに累積獲得経験値と比較して「プレイヤーと同等もしくは上」の魔物を倒さない限り、“満足な”経験値は得られないシステムなのだ。 つまり、今回タイトル戦3つに出場する異常な男は「相当の修羅場を真正面から突破し続けてきた圧倒的豪傑」もしくは「雑魚をひたすら倒しに倒しまくった我慢強い猛者」のどちらかであると分かる。「デュフフ……」 今季はこれまでの叡将戦とは明らかに違ったものになる――そう確信したムラッティは、薄気味悪く笑った。彼の興味を惹きつけた一番の理由は、その男が叡将戦とともに霊王戦へも出場するということ。【魔術】と【召喚術】の関係、彼が今まさに研究している内容そのものである。 言ってしまえば、彼にとっては叡将戦などどうでもよかったのだが……ただ一点、その男に話を聞けばまた一つ【魔術】について何かが明らかになるかもしれないという、その一点においてのみ、叡将戦への意欲がぐんぐんと増していた。「興味深い相手キタコレですなぁ」「禿げあがるほど同意」