そして魔物は右側に傾いた。 右側見れば、そこにも別の人物がいて、魔物の足を切り落としていた。今度は手の方を切ろうとしている。それに左側にも人が立っている。 左側の人が口を開けた。「親分、よくこいつに剣差し込めたっすね! めっちゃかてぇじゃないっすか!」「てめぇは根性が足りねぇんだよ。見ろ、ガイはきっちり仕事してるじゃねぇか」「……クワマルは、筋肉が足りない」「うるせぇ! この筋肉バカ!」 信じられない気持ちだった。 だって、とても、懐かしい声だ。 そうだ。あれは、親分たちだ。アレク親分とガイさんとクワマルさんだ……。 だって、あのスキンヘッドに、泣く子も黙るような風貌……私が親分を間違るはずがない。