「本っ気で冗談きっついぜ……ッ! 壱ワン弐ツーで決め切れないのかよ!? そこに姉貴直伝の黄金の攻めパターンをぶっこんでるんだぜ……ッ!? けど――姉貴が間違えることはねぇ! てことは……まだまだ、アタシが力不足ってことだ!」 一方的に攻め立てているのは少女の側。 にもかかわらずその表情には余裕がない。 彼女の表情からうかがえるのは、悔しさ。(……姉とやらが教えた攻め方で決めきれぬのが、そんなにも悔しいのか) 少女は自分自身を責めていた。 決めきれない原因は姉が教えた戦法ではない。 己の力不足にあると信じている。 けれど少女が諦めることはない。 どころか、少女の攻撃は繰り出すごとに精度を高めていく。(実戦の中で、成長していく性質か……ッ) そしてイヴの側にも余裕はない。 雷撃の範囲内においては防戦一方。 範囲外へ逃げても一瞬で距離を詰め直される。 速すぎるせいで白旗代わりの”待った”を示す暇すらない。 少女は初撃以降、超高速で攻め続けている。 息切れ一つ起こさず。