「なぁ、鬼道!カップル限定パフェ、食べにいかないか?」 「……円堂。すまない、もう一度言ってくれないか?」 「だからぁ、カップル限定パフェ食べに行こう!」 「聞き間違いではなかったようだな」 色恋に疎い恋人からの思いがけない言葉に、とうとう自分の耳が己の内なる妄想を聞き取ったかと危惧したが どうやら現実だったらしい。 確かに自分と円堂は恋人同士だ。 小柄な女子でありながら守護神としてゴールを守る気高さ、誰に対しても分け隔てのない優しさ、そして影山の闇から己を救い出し 光を与えてくれた温かな人柄に惹かれ、フットボールフロンティア優勝後に決死の告白をしたのは先日のことである。 だが、恋人という関係になってからも恋愛よりもサッカーなサッカーバカ円堂と そんな円堂に惚れ込んでいる鬼道の関係は友人の時から進展することはなかった。 そんな矢先に「カップル限定パフェ」という言葉を円堂から聞こうとは。 「え、円堂。その、カップル限定パフェというのは?」 「秋が見せてくれた雑誌に載ってたんだ。近くの店にカップルで行ったら注文できるパフェがあるんだって!それがすっげー美味そうでさぁ」 「なるほど、飲食店も色々工夫をしているんだな」 「カップルって恋人のことだろ?おれたち、恋人じゃん。だから注文できるよな?」