「ということで、学園祭をすることになりました!」 図書館にアランとリッツ君を集めて私は来るべき日について打ち明ける。 色々なことを端折りつつも、大雨の災厄で頑張ってくれた貴族様方を労おうという感じの催しが国を挙げて行われることと、その一環として学園もそのお祭りを一緒に盛り上げるべく学園祭を決行することになった旨を伝えた。「学園祭……?」 聞きなれない言葉にアランが首をかしげる。「そうです。以前アランが教えてくれた慰労会、数日の期間にわたって結構盛大に行われるみたいなんです。その期間中は、たくさんの貴族・準貴族の方々が来られる予定ですし、学園の生徒達のことを知ってもらえるいい機会かと思います。それに学園の生徒達は先の魔物襲来の際には、頑張ってもらったので、その労いの意味も兼ねてます。結構予算も下りたので、楽しいものができそうですよ」「ふーん。それで、具体的に学園祭って何をやるんだ?」 アランに言われて、私は台本を出した。「劇をやることになりました! あとせっかくですし、他にも生徒のみんなが楽しめそうな催しもしようかなって思ってます」 思わず声が弾んだ。 色々と思惑を秘めた学園祭だけれども、なんだかんだで、友達と学園祭をできるとかそういうの、なんかワクワクしちゃう。 ただ、できればここにシャルちゃんやカテリーナ嬢達がいてくれたらもっと楽しいだろうけれど……。 グエンナーシス領の皆は今頃何をしているのだろう。「劇……? 芝居屋を呼んで観劇するのか?」 アランが劇に食いついてきて、そんなことを聞いてきたので、私はアランに顔を向けた。「いえ、観る方ではなくて、劇をする方ですよ」「え? 俺達の学園での頑張りを労うための催しでもあるんだろう? なんで、俺達が何かやらないといけないんだ?」 まあ、そう思いますよね。「深いようで浅い事情があるんですよ……」 そう、主に大人たちの暗い事情がね……。「でも、皆で力を合わせて何かをするのってこういう機会がないとなかなかないですし、それはそれで面白いかなって思ってもらえれば」 私がそう説明すると、アランも多少は納得したらしく、「まあ、確かに、劇なんかやったことないしな」と言って頷いてくれた。 せっかくの機会だし楽しいものだと思ってもらいたい。 始まりが大人の事情によるものだとしても。「その学園祭までには、シャルとかグエンナーシス領の皆もこれればいいね」 リッツ君の言葉に私も深々と頷いた。「そうですね……」 本当に、来てくれたら嬉しい。 久しぶりに会って無事を確認したいし、色々話したいし、できれば、一緒に学園祭を盛り上げていきたかった。