勝己は一歩ぐいと歩み寄った。それがぶつかってしまうのではないかと思うほど近い距離で、そこから遠慮なく目を覗き込んでくるものだから「え、え」と出久はたじろいだ。見下ろす。見下ろされる。自らの顔が相手の瞳に映っている。「んな事より、てめー、なんか俺からとったろ」睨みつけながら、勝己が言った。それが確信めいたはっきりとした口調だったのでどきりとしてしまう。「ずっと、この辺がスカスカすんだよ。敵ブッ倒したのに治まらねェ。ババァの治療受けても、ひりひりが治らねェ。てめぇだろ、クソデク」と、勝己は自分の胸を拳でどん、と叩いてから出久の腕を掴み、そして何かを探すようにじぃっと緑の瞳のさらに奥を覗き込んだ。