それから、岩の家の浴室へ向かったリオ達。広々とした脱だつ衣い所に入り、浴室へ繋がる扉をリオが開放する。「こちらが浴室です」 そこには、お城育ちのクリスティーナやフローラから見ても、実に豪ごう勢せいな浴場施し設せつがあった。というより、彼かの女じよ達たちが今までに使用してきた浴場施設が貧相に思えるほどの立派な造りである。 奥おく行ゆきが広く、高い天てん井じように、岩いわ肌はだがむき出しになった壁かべ。石のタイルが敷しかれた広い洗い場の奥には、数人が一緒に入れそうなほどに大きな岩の浴よく槽そうがある。 魔道具の吐と湯ゆ口ぐちからはお湯が止めどなく供給されており、湯船からは白い湯気が立ち上って、浴場内に漂ただよっている。「………………」 クリスティーナもフローラも目を点にして浴室を眺ながめていた。「石鹸類の種類をご説明いたしますね。どうぞこちらへ」 リオがそう言って浴室に入っていく。クリスティーナとフローラは互たがいの顔を見つめると、どちらともなくリオの後を追った。「こちらのボトルには髪かみの汚れを落とす液体石鹸が入っていて、頭の部分を押おすと中身が出てきます。何回押せば適量になるのか髪の長さにもよるのでわからないのですが、髪を濡ぬらした状態でしっかりと泡あわ立だつ程度の量を使用してください」 と、まずはシャンプーの説明を行うリオ。続けて、コンディショナーにボディソープ、そして洗顔石鹸の説明を行う。「石鹸を洗い流す時は洗い場にいくつか設置してある丸石に触ふれてください。触れた時間に応じて魔ま力りよくを吸い上げて、こちらの口からお湯を吐はき出します。それぞれ右の丸石は高い位置にある口に、左の丸石は高い位置にある口に連動しています。試ためしに使ってみましょうか。お湯が跳はねるので少し離れていてください」